「ここよ」
と言われても、どこからどう見ても食堂なんだけど。
「正確にはこの絵画の裏の壁にあるスイッチを押したら、ね。ご飯を頂いたあとにいつも部屋に戻っていたから知ってたの」
成金野郎は部屋を隠したいのか隠したくないのかどっちなんだ。
「ポチッとな」
ゴゴゴゴゴと壁が動き、趣味の悪いドアが現れた。
「失礼しますね、成金野郎」
「鍵っ」
・・・普通に開いた。本当にここに薬があるのか?
「真っ暗だな」
「確かスイッチはこの辺じゃないかしら・・・あった」
「「!?」」
明かりがついた途端、目に入ってきたのは椅子に縛られた珀斗の弟と、彼に銃を突き付ける成金野郎だった。
「何してんの?」
「むが!むがががががむが!」
あぁ、そりゃしゃべれないよな。口にガムテープ貼ってあるし。
「大変!」
「天使になったのか!ますます価値が上がったな!」
「あんたの為に天使になったんじゃない!」
「ふぇふぇふぇふぇ!結局は私の為になる」
「むががが!」
バタバタと暴れている。あの状態で暴れても意味はないと思うのだが。
「こいつを死なせたくなかったら薬は諦めるんだな!」
「薬はどこだ」
「むがががが!むがーーーー!」
「ふぇふぇふぇふぇ!薬の方が大事か!大事な商売道具だったが仕方ない。さよならだ」
「むがーーー!」
「ふぇふぇふぇ!薬も渡す気などないがな!」
「きゃーーーー!」
パンッ!