午後九時。暗くなった校舎の中に六人はいた。かすかな物音とマイケルの【夜のセーター長いバージョン】を引きずる音が響く中、音楽室に向かった。当然のことながら音楽室はひっそりと静まりかえっていた。
「ついたね・・・。ふふふふふふ・・・」
「こ、心なしか喜んでない・・・?」
「「ふ」が多いから喜んでるんだろうな」
「ねーねー」
真っ暗な教室に響く声。
「誰が写真に写るのー?」
彼の当たり前な発言に五人は同時に「あ」と言っていた。音楽室まで行く事に必死で、誰が写されるのか決めていなかったのだ。
「移りたい人ー、手を挙げてー」
「手を挙げってって、何も見えないんだけど」
六人は真っ暗な中にいるので手を挙げても分からない。といっても、魂を取られると言われているのに、進んで映る人もいないだろうが。
「とりあえず、電気つけてよ!」
「ふふふ・・・。残念だけど・・・、音楽室の電気はつかないんだ・・・」
「ひー!耳元でしゃべらないで!あいたっ!」
どうやら彼女の目の前は壁だったようだ。
「電気、つかない?」
「誰かさんがここで喧嘩をして・・・、壁を凹ませたあげく・・・、電気のコードを切っちゃってね・・・。大丈夫だよ京ちゃん・・・。僕は京ちゃんの味方だから・・・、誰にも言わないよ・・・」
「言ったようなもんだろ・・・」
「なんくる、ないさー」
「瑛!方言まで・・・!」
「カタコトだけどね」
「それでー、誰が映るのー?」
「塊が映れば?」
「やだー」
「じゃ、瑛――」
言いかけると、京がギロッと睨んできた・・・様な気がする。殺気がした。瑛と京は無理だ。
「ってことは、残ったマイケル?」
「ふふふふ・・・。魂が取られる経験っていうのも貴重かもね・・・。もし取られても戻ってくる方法を知っているから大丈夫だしね・・・」
「じゃ、マイケルお願い」
「さりげなく、嵐、自分、はぶいた」
「カメラはー?」
「カメラ、持ってる。袋、中」
大きな袋から彼女はカメラを取り出した。袋の大きさは彼女の腰ぐらいまである。まさか、袋の中身はすべて―――
「カメラ、たくさん、ある」
「瑛。カメラは一つでよかったんだよ」
「ないよりかはましだろ」
「そういう問題ー?」
「どこ、撮る」
「ここだよ・・・」
「撮る」
全員が息をのむ。
「はい、チーズ」
虫達の声がやんだ。
「――、二個、あった。母親、三個、見つけた。父親、五個、見つけた。兄、六個、見つけた。妹、四個、見つけた。弟、二個、見つけた。合わせる。何個?」
「あ・・・」
やっと瑛のシャッターの掛け声が終わったと思ったら、マイケルが何か思い出したらしい。
「僕・・・、フラッシュ嫌いだからやらないでね・・・」
「それって、映るのか?」
「多分・・・、大丈夫だよ・・・」
「自信ないんだ・・・」
撮影会、再開。
「はい、チーズ、二個、あった。母親」
「チーズまででいいから!」
「むー」
「僕が言ってあげるよ・・・。はい・・・、チーズ・・・」
カシャッと音がした。噂の通りであればマイケルの魂は抜けているはずだが・・・。
「え?どうなったの?」
「マイケルー?」
全員で心配していると―――
「ふふふふふふ・・・。瑛さん・・・、君こそが僕の運命の人だ・・・!」
その言葉が聞こえたと同時に、瑛の真正面がまぶしくなる。
「瑛さーーーん・・・!」
光がものすごい勢いで瑛に向って来たと思ったら、すぐに消えた。
「瑛に触るな!変態が!」
「・・・人の事言えないって」