メロディー♪ ~春風学園の影の噂~ 8

 

マイケルがいつの間にか書いた、文字なのか分からないものが書かれた円の中に呼ばれた。
「じっとしててね・・・」
男子生徒が円の中に入ると十センチくらいのちいさな木の人形が現れた。
「こいつの事を知りたいのか?」
「ふふふ・・・。そうだよ・・・」
「人形がしゃべっ・・・!」
マイケルが魔術を使える事を知らない彼は、ただただ驚いている。
「こいつはいつもちゃっかり居る脇キャラだ!じゃあな!」
甲高い声で早口で言ったかと思うと、すぐに消えた。
「あぁ、いたいた。こういう人」
「そういえば、いた」
「いたねー」
「僕も水晶で見たよ・・・」
「なんで今ので分かったんだよ!って、俺の事は今はいいんだよ!本田!」
「あ、あぁ」
京が瑛の前へと進み出る。
「瑛、質問していいか?」
「質問、何?」
「好きな男のタイプはどんなタイプだ!?」
勇気を振り絞って聞いた。瑛の答えは――
「男、狼、だから、嫌い。京、別、だけど」
「・・・え?」
「ね、ねぇ、塊。もしかして、最近瑛に何かCD貸した?」
「どうして分かったのー?」
瑛はあるアイドルのCDを借りて、そのアイドルの曲の歌詞に影響されてしまったようだ。
「単純というか何というか・・・はぁ」
「そんなとこも可愛いね・・・」
「俺は・・・別?」
彼としては男は狼だと思っている事より、その後に言った言葉が気になったらしい。
「俺、特別なのか・・・」
特別=好きではない。ちなみに、瑛からしたら塊も特別である。
彼は今とても嬉しそうなのでそっとしておこう。
「君達!」
「うわっ!」
「こんなに良い天気なんだ!写真でも撮ろうではないか!」
「あ、良いかも」
「写真写真ー」
「カメラ、ある」
ごそごそと大きな袋からカメラを出した。
「ま、まだ持ってたんだ」
「撮る」
彼女があの掛け声をしようとした瞬間、空が曇り出した。
「暗くなってしまったぞ!」
「フラッシュがいるねー」
「じゃあ・・・、僕が撮るよ・・・」
「フラッシュが本当に嫌なのね・・・」
「ピカッてするからねー」
「はい・・・、チーズ・・・」
パシャッとフラッシュが光った。と、同時に黒い雷がマイケルを直撃した。
雷に打たれた彼は「やっぱりフラッシュはまぶしいね・・・。次は京ちゃんとツーショットがいいな・・・」と何事もなかったように言った。
「あれ?元に戻ってない?」
「本当だー」
「え?本当はあんな感じなのか?」
「おぉ!晴れてきたぞ!」
Zzzz・・・」
「俺が・・・特別?」
「ほ、本田。すごく言いにくいんだけどさ、あれって」
「待ってー。それ以上は言わなくていいよー」
「でも、いいのか?勘違いしたまんまで」
「良いのー。楽しみが増えるからー」
「その理由は問題だと思うぞ」
「気にしないー、気にしないー」
こうしてまた一つ、小さな事件は幕を閉じた。
 
 
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