月の光は優しくてらす。 6

 

水を飲んでなんとか助かった。
そういえば何か忘れてるような。
ドーン!
目の前に大蛇の尻尾が振り下ろされた。そうか、こいつを忘れていた。しかし、なぜ今まで静かだったんだ?
見上げると涙目で尻尾を見る大蛇。尻尾をよくよく見ると痣ができている。
「ちょっ、涙目とか俺弱いんだけど」
刀も術も効かなかったのに、何で痣が?
「そんな眼をしてもだめよ!私は甘くないんだから!」
・・・そういえば彼女が出てきたとき殴ってたな。でもあれで?あのパンチで?刀も術も効かなかったのに?
「まったく!ていてい!」
ペチペチと尻尾を叩いている。
「キュゥゥゥゥ!」
・・・まさか!
「天使萌え?」
「「は?」」
冗談はさておき。大蛇の弱点が分かった。『霊属性』だ。他のものに強い分、弱点である『霊属性』に弱いのだ。
天使は『光属性』と『霊属性』だ。烈潔刀は『光属性』。それが効かなかったいうことは、弱点は『霊属性』だということが分かる。
ちなみに、悪魔は『闇属性』と『魔属性』だ。つまりあいつは使えない。彼女も戦力になりそうにないが。
あんまり強いのは必要ないか。屋敷吹っ飛ばすわけにもいかないし。
「こんなもんか」
「ぎゃぁぁぁぁ!」
「わぁかわいい!」
見事に正反対の反応だな。
「くっ来るなっ!」
「なんだよなんだよー。つれないなー」
「しゃべっぎゃぁぁぁぁ!」
火の玉ぐらいで大げさな。火の玉は『火属性』と『霊属性』だし、攻撃力もちょうどいい。
「ちなみにその子はヒロシくんね」
「ヒロシだよー。よろしくねー」
「だから俺のところに来んなーー!」
ブンッ!
「げふっ!」
黒い塊が尻尾によって飛んで行った。踏んだり蹴ったりだな。
「ぷっ」
「笑い事じゃねぇ!」
「ねー姫依ー。あいつ倒すのー?」
「そう。あいつが敵」
「そっかー。僕頑張るねー」
火の玉は元々はただの霊だ。私のような除霊師に仕えることで火の玉となる。ヒロシくんは交通事故で亡くなった霊だった。火の玉にする気はなかったのだが、ある事で仕えると申し出てきた。ある事とは・・・秘密だ。
「お菓子くれたあの日から僕は姫依を守るって決めたんだー」
・・・さらっと言っちゃった。いいけどね。ヒロシくんが安い子だと思われていもいいならいいよ、私は。
「よーしやるぞー」
「いってらっしゃい」
「おいおい!あんなチビだけかよ!」
「あの子1人で大丈夫なの?」
「心配ご無用」
3人で大蛇とヒロシくんを見上げる。その時、ヒロシくんが大蛇と変わらないくらいの大きさへ変化した。
「でっでかっ!」
「すごーい!」
あっという間に大蛇はヒロシくんに包まれ、徐々に縮んでいき・・・ヒロシくんに食べられた。
「ごちそうさまー」
「食うのかよ!」
「姫依―僕頑張ったよー」
「ありがとう、ヒロシくん」
「えへへへー嬉しいなー」
 
只今の状況。珀斗の妹を助ける薬探し。
「そういえば、あなたを掴めなかったのにどうして蛇ちゃんは殴れたのかしら?」
「あーそれは多分・・・」
説明するのめんどくさいな。
「ヒロシくんお願い」
「いいよー。僕が説明するねー」
「どわぁ!」
「あのねー、霊って攻撃しようとすると一部に霊力が集まるんだよー」
「霊力が集まる?」
「そうー。殴ろうと思えば霊力が手に集まって実体化するんだー」
「じ、じゃあ霊力集めて掴めば良かったんじゃねぇの?」
「あぁ!そうよね!」
「ダメだよー。攻撃するときしか出来ないんだよー」
「握りつぶす!とかおっ思って握ればいんじゃね?」
「そんな事したらー、僕怒っちゃうよー?」
ヒロシくんが巨大化した。「ぎゃぁぁぁ!俺は美味くねぇぞ!すんません!もう言いません!助けてください!」とか悲鳴が聞こえた気がするけど無視しよう。
「それらしい物はないわね・・・」
「まぁ、大事なもんだから隠してる可能性が高いだろうね」
隠すとしたら・・・銀行の金庫とか?・・・ないな。あの成金野郎は自分と金以外信用してなさそうだし。とすると・・・
「自分の部屋?」
「確かに私も自分の部屋に宝物を隠してたわ!」
「部屋から出れなかったんだからそりゃそうでしょうよ」
あいつの部屋どこなんだ?全部の部屋を調べたからあとは隠し部屋しか・・・しかしホント客室多いな。
「成金野郎の部屋なら知ってるわ」
「なんですと!?

 

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