メロディー♪ ~春風学園の七不思議~ 2

 

満月の夜は結構明るい。さくらんぼ寮には許可を貰ってきた。はじめは京が寮母を脅して許可を貰おうとしていたのだが、無駄だった。寮母は寮長の母親がやっているのだが、性格が寮長同様ぼーっとしているので、脅しても脅しにならなかった。そこで出てきたのが塊だ。四人の中では塊が一番二人と仲が良い。塊が説得してなんとか許可を貰ったのだ。
「お月見団子が食べたいなー」
「お月見に来たわけじゃないのよ」
「お団子」
「ほら、瑛」
彼が手渡したのはお月見団子。どうやら瑛の考えそうな事を予測してきたらしい。
「さすが瑛のストーカーね」
「ストーカーじゃねぇよ!」
彼がストーカーかどうかは置いといて。月を眺めながら団子を食べていた瑛と塊は、屋上のフェンスのところで同じように(団子は持っていないが)月を眺めている女の子を見つけた。
春風学園の制服を着ているのでここの生徒のようだ。白い服の裾に彩られている水色のラインが月光に照らされてとても綺麗だ。
「あれを、見ろ」
よく見てみると女子生徒の向こうが透けて見える。
「本当に・・・幽霊・・・か?」
「うそ・・・」
「本物だー・・・」
呆然と見ていると見られていた彼女が振り向いた。
「私が・・・見えるの・・・?」
大人しそうな子だった。年は瑛達と同じくらい。身長は・・・残念ながら浮いているので分からない。
「よし!帰るか!」
「そうね!もう遅いし!」
「甘さ、足りない」
「本当にいた事は分かったしねー」
四人が満足そう(?)に帰ろうとしたその時。
「ちょーーーーっと待てーーーー!!」
大人しそうな―――大人しそうだった彼女が突然叫んだ。
「あんた達・・・ちょっとそこに座りなさい!」
          *
四十分後。
「――ね?だから、困っている人を見つけておきながら助けないなんて、人としてどうかしてる!」
座らされたままずっとこの調子だ。大人しそうな子だと思ったら、結構よくしゃべる子だったらしい。
「人じゃないしー」
「そこ!何か言った!?」
「変なのに関わったな・・・」
かなり疲れたらしく、京がため息まじりに言う。他の三人も同様で、頭に青い縦線が見えそうだ。
「帰る」
飽きた瑛がドアに向かって歩き出す。その後を京・嵐・塊の順番で追いかける。
「待って待って待って!待ってくれないと、枕をぺったんこ枕に変えるよ!」
それを聞いた瑛がピタッと立ち止まった。
「それは、大変だ」
京が「瑛を困らせるつもりか!」と怒鳴ろうとしたその時、幽霊が土下座をした。

「お願い!私、どうして成仏できないのか分からないの!覚えているのはここで自殺した事と、名前と住所、この学園の生徒だった事、モットーが『世の中、猫かぶってなんぼ』だった事は覚えてるんだけど、その他の事が思い出せなくて・・・。だから、私の事を調べて!お願い!」

  

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