メロディー♪ ~春風学園の七不思議~ 3

 

翌日。しょうがないので彼女が成仏できるように調べる事になった。瑛達が今いるのは春風学園の図書館。春風学園の図書館は広い。市立図書館並みに本はそろっているし、二階もある。
そんな図書館のアルバムコーナーで瑛達は調べていた。彼女がこの学園の生徒だったという事はどこかに写真があるはずだ。
高等部の時に死んでいるから高等部のアルバムに載ってないかもしれないが、中等部のなら一枚くらいあるだろうと思ったのだ。
「これ、かな?」
「それだ!よく見つけたな、瑛」
「そうそう、これよこれ!」
「なーーーーーーー!」
思わぬ人物が傍にいることに驚いた嵐が、学園の外にも聞こえるくらい大声で叫んだ。彼女の傍いいる人物、それは昨日の幽霊である。周りの人々には見えていないらしい。
「こらこら、嵐ちゃん!ここに『図書館ではお静かに』って書いてあるでしょ!私の場合はいくら叫んでも誰にも聞こえないけどね~。あ、あんた達には聞こえるか」
一人で聞いてもいない事をペラペラとしゃべる幽霊――(ひかり)
「あれー?満月の夜以外はー、姿を現す事ができなかったんじゃなかったのー?」
光が満月幽霊と言われるわけは、彼女が満月の日にしか姿を現さなかったからである。
「どんなこと分かるかなー?って気になったら出てこれるようになった!今まで諦めてたのかもね!」
「どんな仕組みよ!」
「ナイスつっこみー」
嵐の素晴らしいつっこみに拍手が沸き上がる。図書館がなんだかほんわかした雰囲気に包まれた。
「見て、見て」
「十五年前・・・だな」
「中等部卒業の時の写真だからー、無くなったのは少なくとも十四年前だねー」
「って事は、私達が二歳の時に亡くなってるの!?」
「何くだらない計算してんの」
嵐はボケたつもりはまったくなかったのだが、光につっこまれた。一部の嵐ファンには彼女の天然が大好評だった。「普段気が強いんだけど、たまに見せる天然で可愛いところがたまんないんだよねぇ。ハァハァ」とファンの一人が言っていた。
「情報はこれだけか?」
「悪い、これだけ」
役に立てなかったと落ち込む彼女に京があたふたしながら付け足す。
「そ、そうじゃなくて・・・瑛は写真見つけたし、その・・・気持だけでも十分役に立ってるんだよ!だから落ち込むな。な?」
彼はあまりフォローが得意ではないようだ。
「はいはい皆さん、こっちに注目ー!」
パンパンと手を叩いて光が四人の注目を集める。
「私の実家に行ってみない?」
「だが、光と、どういう関係、聞かれたら?」
          *
「かくかくしかじかで母が友達だったんです」
結局、塊と嵐の母親が友達だった事にした。母親に光の事を聞くと涙が止まらなくなって聞ける状態じゃなくなるので、実家まで来たという設定。
「そうだったの」
「かくかくしかじかで通じたのか?」
通じたらしい。
「綺麗な満月の日だったのよ。あの子が死んだ日」
どうやら満月の日に亡くなったので、満月に出るようになっていたようだ。
「光は大人しくて優等生だったのよ。学園ではね」
「学園ではー?」
「ほら、あの写真を見て」
と、光の母親は仏壇の光の写真に視線を移す。
「いかにも大人しそうでしょ?でも、実は道場破りで有名だったのよ」
道場破りをしていたが、学園にばれるとまずい。そこで光は仮面をつけて道場破りをしていた。我流だがそうとう強かった。学園ではか弱い乙女を演じていたそうだ。
「どうして、自殺?」
「それが・・・遺言に理由は書いてなかったの」
「理由が書いてなかったのに自殺になったのか?」
「ええ。『自殺です。ごめんなさい。あの事は自分の胸に閉まっておきたいから書かないでおくね。もう・・・いいんだ。もう、いいの。他殺じゃない証拠に、お母さんのへそくりの隠し場所は』・・・こほん。と書いてあっただけなのよ」
なぜ光が母親のへそくりの隠し場所を知っていたのかは謎だが、他殺ではなさそうだ。
「なにか悩みがあったとか聞いてませんか?」
「そうね・・・三丁目の道場が難しそうとか、クラスの龍二くんがかっこよすぎて辛いとか・・・そのくらいかしら」
「・・・・」
世の中の女の子というのはこれが普通なのだろうか。少なくとも『世の中、猫かぶってなんぼ』をモットーにしている人はいないだろうが。
          *
満月の日に自殺した事と道場破りをしていた事は発覚したが、肝心の自殺の理由が分からない。幽霊になってこんなに元気なのに、生きている時に死にたくなるほど悩む理由があったのか。
「何か、思い出す、ない?」
京におぶさりつつ聞いた。そんなに光の実家は遠くなかったが、彼女は往復する途中で疲れてしまった。
「全然~。何で成仏できないんだろ~?あ!!」
彼女の視線の先には若い男の人と息子らしき子供がいる。その二人に近づいたと思ったら、光はいきなり子供にかかと落としをした。幽霊なので子供に当りはしなかったが、懲りずに何度もしている。
「知りあいー?」
「この男の人、龍二くんよ!息子がいるのね・・・。くやしー!」

 

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