メロディー♪ ~春風学園の七不思議~ 7

 

屋上に行くと、あの日と同じように月を眺めている女子生徒がいた。
「光」
瑛が声をかけると、月を眺めていた女子生徒はゆっくり振り向いた。
「来てくれたんだ」
「当たり前でしょ!友達なんだから!」
「友達・・・か」
光の顔に影が差した。
「私ね、思い出したの。未練も自殺した理由も」
頭が痛くなったのは記憶が蘇ったせいだったようだ。消えたのは痛さとショックで姿を出していられなくなったのだろう。
「昔・・・中等部の時にね、友達がいたの。私にはその子しかいなくていっつも後ろ引っ付いてた。でも、その子は私の事がうっとうしかったみたいで・・・。偶然ね、そういう話してるの聞いちゃってさ!高等部に上がる時は親の都合でその子は転校したんだけど、私は人と付き合う事が怖くなって。高等部では一人も友達がいなかった。情けないでしょ?たった一人の子にうっとうしいって思われただけなのに、人付き合いが怖くなっただなんて。そんな自分、大っ嫌いだった」
「それで、自殺」
「それもあるけど、一番は寂しかったからかな。友達が出来ないなんて悩み、バカらしくて誰にも相談できなかったし。自業自得だけどさ、誰かが手を差し伸べてくれるのを待ってたんだ。でも・・・待ちきれなかった。現実から逃げたの」
「バカらしくないよ!人付き合いが苦手な人ってたくさんいる!だから、バカらしくない!」
「一人でいて幸せになれる奴なんていねぇよ。誰かと笑い合ったり、泣き合ったり、怒鳴り合ったり、そんな事をしながら作っていくもんじゃねぇのか、幸せって」
「運が、悪かった」
「ホントだよー。今いたら人気者だったのにねー」
「みんな・・・」
彼女は泣いていた。ずっと友達ができなかった。楽しく笑えなかった。周りが怖くてしょうがなかった。でも、今は親身になって話を聞いてくれる、とても大切な友達ができた。
「・・・さて!あとは未練を達成して成仏しなきゃ!」
「未練ってなにー?」
「・・・お姉ちゃんに会う事!」
 
    
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