メロディー♪ ~春風学園の影の噂~ 1

 

前略 明華
七不思議、面白い。友達、増えた。イェイ。ピース、双子の兄、本借りた、覚えた。そういえば、この前、借りた、『恋のおまじない』。よく、分からない。明華、分かる?もうすぐ、秋。今年も、紅葉、綺麗、だろうな。
*     *
「君達は知っているかい・・・?」
ものすごく背筋が寒くなったと思ったら、瑛達の後ろにフード付きのセーターを着た男子が立っていた。見ている方は暑苦しいのだが、本人はいたって涼しげな顔をしている。
夕暮れの中、瑛達は廊下で雑談していた。
「な、なに?」
「ふふ・・・」
フードからぎりぎり見える口元が歪んだ。
「誰ー?」
「・・・」
「瑛、今はピースするとこじゃないよ」
無表情でフードをを被った男子にピースをしていた彼女。まだピースサインをするタイミングが分からないようだ。
「君が瑛さん・・・?噂はかねがね聞いているよ・・・」
「う、噂って?」
「ふふふふ・・・。彼はいつも君の事を話しているよ・・・」
「彼?」
「彼って誰だろ?」
「人形じゃねーの?」
「人形って・・・人体模型とか!?」
「人を外見で判断しちゃだめよ!」
「そうよ!意外といい人かもしれないじゃない!」
どうやら異様な雰囲気に気付いた生徒達が勝手な事を言っているようだ。
「みんな彼の事が気になるようだね・・・。彼ならもうすぐ来るよ・・・」
「いや、どっちかっていうと、あんたの事の方が気になるわよ」
うんうん、と周りの生徒達がうなずく。勝手な事を言っていた生徒達はだんだんフードを被った男子に対して不審者を見るような視線を向けだしていた。
「道を開けろ!ただでさえ秋吉のせいでイライラしてんだよ!」
生徒達を押しのけ――というより、生徒達が道を開け、京が廊下を怪獣のごとく歩いて来た。
その瞬間。
フードを被った男子が、先ほどとは比べ物にならないほどの明るくまぶしいオーラを出しながら、両手を広げて京へと走り出した。
「きょーちゃーーん・・・!」
「お、マイケル。儀式終わったのか」

と、言いつつさりげなくまぶしいオーラをまとった彼を避ける京。マイケルと呼ばれた彼は京を通すために両端へどいていた生徒達の間をきれいに滑って行った。

 

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