メロディー♪ ~春風学園の影の噂~ 2

 

時間が遅くなったので瑛達は寮へ帰り、今は京の部屋にいる。マイケルというおまけ付きで。
「初めまして・・・。『闇内(やみうち) マイケル』です・・・」
「『闇討ち』!?」
「いやいや・・・、『闇・内』だよ・・・」
「こんな強烈なキャラの人を今まで知らなかったなんて・・・」
「何年生ー?」
「君達と同じだよ・・・」
「京、関係?」
「ふふふ・・・。聞きたい・・・?」
彼は占いや魔法といったたぐいの物が好きで、ほとんど部屋にこもっている。学園には試験の日に行くぐらいだ。通常、この様な事は認められない。だが、彼は超頭が良いので特別に許可してもらっているのだ。
試験を終えて帰ろうとしていたある日。彼は曲がり角で京にぶつかった事をきっかけに、京と話すようになった。
「違ぇだろ」
―――というのは彼の妄想で、本当は彼が不良達に絡まれていたところをたまたま京が通りがかり、強いと有名な京を倒して自分達の名を上げようとした不良達が逆にやられたという、運命的なのかそうじゃないのか微妙な出会い方だった。それをきっかけに話すようになり、気味悪がられる自分を気持ち悪がらずに普通に接してくれる京を彼は信頼し、二人は親友となったのだ。
「良い、話」
「というか、京に私達以外に友達がいたなんて・・・」
「びっくりー」
「瑛以外あとで覚えてろよ」
「ふふふ・・・。本当に好きなんだね・・・。京ちゃん・・・、僕と話すと瑛瑛ってむぐっ・・・!」
マイケルの顔面に枕が直撃。ピッチャーはもちろん京。
「ふふふふ・・・。京ちゃんってば・・・、かわいいなぁ・・・」
にやり、と不気味に笑う。
「だから瑛。ピースするとこじゃないって」
注意された彼女は渋々とピースサインを引っ込めた。
「マイケルってことはー、ハーフとかー?」
「違うよ・・・。僕の両親は外国人に憧れていてね・・・。気持ちだけでもなりたいからって・・・、僕にマイケルって名前を付けたんだ・・・」
「変・・・素晴らしいご両親ね」
「そういえば、なんで今日学園に来たんだ?」
マイケルが試験以外の日に学園に来たのは初めてだ。
「実はね・・・、瑛さん達に聞きたい事があってね・・・。本当は昼休みに会いに行くつもりだったんだけど・・・、途中でやたらと元気のいいスキンヘッドの人に声をかけられてね・・・」
「多分、秋吉」
「あんな生徒いたんだね・・・」
「秋吉は教師だ」
「教師・・・?どおりで制服を着ていないと思ったよ・・・」
それ以前に、明らかに三十過ぎのおじさんの顔を生徒と間違わないと思う。
「仕方ないから午後の授業を受ける事にして・・・、放課後に会いに行ったんだ・・・」
ちなみに彼のクラスでは午後の授業中、ポルターガイストが起っていたそうだ。騒ぐ生徒の中、彼だけは椅子に座って静かに微笑んでいたという。
「それで、聞きたい事って?」
「実はね・・・、今学園の影である噂が流れてるんだ・・・」
「どんな噂ー?」
「それはね・・・」
「ちょっと待って!」
ようやく話が盛り上がってきたところなのに、マイケルの目の前に手をかざして嵐が話を止めた。
「良い手相だね・・・」
「え?そ、そうかな・・・?じゃなくて!学園に出てこないあんたが何で学園の噂知ってんの!ってかそもそも、【影の噂】の影ってなに!」
これには全員が納得した。
「ふふふふふふ・・・」
「あー、いつもより「ふ」が多いー」
「あれは喜んでるんだ」
「良いところに気付いたね・・・、嵐さん・・・。【影の噂】の影はみんなが怖がって表で話さない噂の事だよ・・・。なんで僕がそんな事知っているかと言うとね・・・、実は僕・・・、新しい魔術覚えたんだ・・・。その名も【学園に居なくても実はいろんな噂知ってるんだぞコノヤロウ術】・・・!」
どこからつっこめばいいのやら。
「そのー・・・、【学園に居なくてもなんたらコノヤロウ術】で何を知ったんだ?」
「【学園に居なくても実はいろんな噂知ってるんだぞコノヤロウ術】だよ・・・。結構気に入ってるから覚えてね・・・。噂っていうのは・・・、音楽室で午後九時ちょうどに写真を撮ると・・・、魂を取られるんだって・・・!」
「・・・」
当然の反応だ。今時そのような事を信じる人はいない。
「へぇー」
信じる人はいない・・・はずなのだが、どうやら唯一京だけが信じたようだ。
「ヤンキーみたいな顔して、そんなの信じるわけ?」
「悪いかよ!」
「似合わないー」
「それ、違う」
「京が純粋なキャラとか似合わないって!」
右手の親指をグッと突き出して彼女は言った。
 
 
 

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