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メロディー♪ ~春風学園の影の噂~ 6

 

午後九時前。マイケルを寮の部屋に閉じ込めて、瑛を校舎に呼び出した。京だけでは心配だということで男子生徒も一緒に来た。
「用事、何」
「暗くないか?あ、黙っとかないと」
「あ、瑛、その・・・、しゃっ、写真を」
「写真?」
「とっ、撮らせっ」
「ファイトだ本田!」
小声で応援。
「とっ、撮らせてくれないか!?」
「やだ」
勇気を振り絞って聞いたのだが、即答されてしまった。しょげる京。
「「やだ」って吉田・・・。もちょっとオブラートに包むとか」
「やだ」
「うぅ・・・。俺のハートまで傷ついた・・・」
「瑛にやだって言われるとー、やけにグサッとくるんだよねー」
また音楽室に瑛と京が行くという情報をどこからか得たらしく、塊がいつの間にか来ていた。
「作戦失敗かぁ・・・」
          *
「本田と吉田のラブラブ作戦~!パフパフ~!」
「なんだその作戦名は」
「すいません、調子に乗りました」
不思議な出来事を利用するという作戦が失敗に終わった二人は、寮に帰って作戦会議を開いた。
「こうなったら、とことんやってみようぜ」
「・・・大丈夫なのか?」
「俺に任せろって!」
自信満々に胸を叩いてみせる彼に京は不信な目を向けていた。というのも、作戦会議をしているのはさくらんぼ寮の食堂。いつ誰が入ってきて二人の会話を聞いてもおかしくない。そんな場所で張り切って大声を出している彼に、京は頭がおかしいのではないかと思い始めていたからだ。
「実は俺に三つ提案がある」
「三つ?」
「まぁ、そう焦るなって」
言いながらポケットから紙を出そうとして、上手く出せず紙がビリビリになってしまった。
「焦ってるのはお前だろ」
「・・・ごほん。まず一つ目!【か弱い乙女を助ける男はかっこいい作戦】!」
「・・・・・内容は?」
「俺が吉田に不良っぽく話しかけるから、本田は嫌がる吉田――吉田の場合はうっとうしがるな。うっとうしがる吉田を助けるんだ」
「わざわざ内容聞く必要なかったな」
「あ、暴力はダメだからな。痛いから」
「俺にどうやって助けろっていうんだ」
ガラ悪く絡んでいる不良を説得して助ける京なんて想像が出来ない。「それもそうだなぁ」と考え出した男子生徒は、三秒後に「これは無しって事で」と結論を出した。
そんな彼に本当にやる気があるのかと、京はますます不信な目を向ける。
「二つ目はこれだ!」
「・・・読めねぇぞ」
ビリビリに破れた紙を見せられても、読めるはずがない。「お前、ふざけてんのか?」と椅子から彼は立ち上がる。
「ふざけてない!本気だよ!俺は友情を一番大切にする男なんだから!信じてくれよ!」
それを聞いた京はキョトンとしている。
「友情?誰と、誰の」
「俺と、本田の」
沈黙。
 
 
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