メロディー♪ ~春風学園の影の噂~ 7

 

「友情はともかく、本気なら文句は言わねぇよ」
「できれば友情の方を認めてほしかったなぁ・・・シクシク」
彼は京と友達になりたいようだ。
「まぁいいや。二つ目は【恋人同士になって欲しいニャン☆作戦】だ!」
「薄々気付いてたんだが、お前センスないな」
「・・・俺も薄々気付いてた」
「気付いてたのかよ」
「これには深いわけがあるんだ。始まりは忘れもしない。俺がちょんまげだった頃・・・」
なにやら長くなりそうだ。彼の目も遠くを見つめている。
「それはどうでもいいが、どんな作戦なんだ?」
「どうでもいいって!・・・確かに。反論できない自分が悔しい・・・シクシク」
「泣くな!うっとうしい!」
「うっとうしいって何だ!うっとうしいって!あ、すいません。殴らないでください」
なかなかに弱い男子生徒である。
「この作戦は本田、お前にかかってる」
いつになく真剣な顔だ。つられて京も真剣になる。
「これはな・・・本田が吉田に思いっきり甘える作戦だ!頑張れ、本田!」
「・・・本気で言ってんのか?」
「さっきから本気って言って」
「ほんっとうに本気か?」
ギロッと彼の目が男子生徒を睨む。
「すいません。冗談です」
残る作戦はあと一つだ。
「さ、最後の一つは・・・【恋愛といったらやっぱりこれでしょ!妙に古くて最初っからそれにしとけば良かったじゃんって思う人も少なくない気もしないでもないこの作戦!ずばり、相手の好みに合わせるのが妥当じゃん?作戦】!」
「・・・・どうすればいいんだ?」
本当は、「作戦名が長すぎる」だの「長くして自信がないのをごまかしてるんじゃないか」だの「本当にそんなんで大丈夫かよ」だの言いたい事はたくさんあったが、あえて心の奥に閉まった彼だった。
「やっぱり好みに合わせるのが良いかな~って思ったんだ」
「・・・そうか」
「なんだよ、その「言いたい事あるけど言うの面倒くさい」みたいな感じは・・・」
          *
怪しい作戦会議の翌日。
「今日、眠い」
「そうかね!?私は今日のこの透けるような青空の下にいるとすがすがしいぞ!」
「秋吉、うるさい」
「ん!?何か言ったかね!?よく聞こえなかったんだが!」
「そういうのは聞こえないのね・・・」
「都合のいい耳ー」
春風学園の中庭で四人はくつろいでいた。
「あーきーらーさーん・・・!」
「来たー」
ただでえ日差しがまぶしいのに、更にまぶしい物が近づいてきた。
「な、なんだ君は!瑛くんに何をしようとぐふっ!」
止めようとした彼はまぶしいオーラをまとったマイケルに跳ね飛ばされた。
この光景を見た生徒全員が小さくガッツポーズをしたのは言うまでもない。
「瑛さん・・・、これ・・・」
勢いよく走って来た彼は、そっと口の中から花束を出した。
「手品!?」
「手品、すごい。ありがとう」
「あ、瑛!」
「京、何?」
「聞きたい事があるんだってよ」
「お前、誰」
「誰ー?」
「誰だっけ?」
「誰だい・・・?」
四人同時に首をかしげた。
「最後のやつは分かるけど、お前らは何回も会ってるだろ!」
三人はまた首をかしげる。
「またかよ・・・シクシク」
「君・・・、こっちに来て・・・」
 
 
                       次へ